松本平諏訪平の皆様|アスベストの規制強化|首都圏では屋根塗装は激減
松本市周辺、諏訪市周辺の皆様、こんにちは。いつも街の屋根やさん松本諏訪平店のコラムをご覧いただきありがとうございます。
突然ですが、皆様のお家の屋根にどんな材料が使われているかご存じですか?瓦?金属?セメント?スレート?屋根材にはいろいろな種類があります。その中で圧倒的なシェアがあるのはスレートです。セメントに繊維異質を混ぜて高温高圧をかけて板状に成型したものに表面塗装をした屋根材です。今このスレート屋根が二度目の大きな転換期を迎えています。一度目の転換期はアスベストが完全に使用できなくなった2006年以降、二度めが2021年規制が強化されたまさに今です。
今回はアスベスト規制の歴史を振り返えながら、規制が強化された影響、注意点などをお話したいと思います。
アスベストとは、日本語では石綿(いしわた せきめん)といわれ、天然鉱石が繊維状に変形したものです。繊維の細さは髪の毛の5000分の1といわれています。古くは古代エジプトのミイラを包む布として使われていた歴史の古い鉱物です。建材としては1900年代から断熱材や、スレート、窯業系サイディング、ケイカル板などの強化材として含有されています。一般の住宅やアパート、マンションは屋根材や外壁材が一番身近だと思います。
昭和の時代に小中高生だった方は、理科の授業でアルコールランプでビーカーを熱する際に脚付きの金網の上にビーカーを乗せた記憶があるのではないでしょうか?あの金網の真ん中、丸く白っぽくなっていませんでしたか?あれ、石綿です。昭和63年まで販売されていました。
1970年代に入るとアスベストに発がん性があると公になり、以降徐々に吹付作業禁止、解体時の特定粉塵に入るなど規制が始まりました。
建材としては2004年に含有率1%を超える建材の製造輸入を禁止、2006年含有率0.1%を超える建材の製造輸入を禁止し、実質アスベストを建材で使うことができなくなりました。
逆を言えば2004年以前のスレートや窯業系サイディングには1%以上含まれている可能性があり、2006年以前の建材には0.1%以上含まれている可能性があるということです。
2004年、今から18年前です。そのころのスレートや窯業系サイディングはそろそろ寿命を迎える時期です。
昨年、2021年にアスベストの規制がまた強化されました。アスベスト関連の建材はレベル1~3があって、レベル1は石綿を吹き付けた柱や梁など石綿が直接露出しているもの、レベル2は配管の保温や屋根裏の断熱など露出はしているものの直接人体には触れにくいもの、レベル3はスレートなどアスベストを含んでいる建材です。製造や輸入は全面禁止になっていますが、解体や撤去に関する法規制はレベル1、2が対象でした。私たち屋根工事を生業とする業者は規制の対象外にいました。それが2021年の規制強化でレベル3のアスベスト含有の可能性がある建材にも規制されることになりました。
どんな規制かご説明します。
1事前調査の信頼性の確保
アスベスト含有を事前調査し、その有無にかかわらず調査結果を都道府県に報告の義務
2.直接罰の創設
規制を守らなければ3か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられる
3.不適切な作業の防止
アスベスト含有建材の除去作業の結果を発注者(施主様)に報告、作業に関する記録の作成、保存の義務化
かいつまんで言うと、きちんと調査し、正直に作業しないと罰を与えますよという内容です
上記3.のアスベスト含有建材の除去の具体例を紹介します。
例.アスベスト含有が見込まれるスレート屋根の塗装前の高圧洗浄作業
洗浄した排水を受水槽などを設けて回収しアスベスト含有汚水として適切に処理しなければならない
アスベスト含有が事前調査で判明した建材を切る、削る、剥がすなどが1カ所でもあれば適切な処理をしなければなりません。
ここで問題なのが、例えば3社相見積もりを取ってA社、B社は正直にアスベスト対策費を見積もりに盛り込んでいて、C社はうまくやりますよ的に対策費を見積もらず安い金額で出した場合、当然その安いC社で契約されると思いますが、それがばれてしまったら業者はもちろん、発注者である施主様も罰せられるということ。今回の規制強化は正直にやらないとだめだということです
屋根塗装をする場合、洗浄作業は欠かせません。というか洗浄しなければできません。不可欠な洗浄作業に排水を回収してアスベスト含有汚泥として処理なんていうことは現実的には不可能です。もし汚泥処理をするとしたらどんな仕組みで回収するのか、費用はどのくらいかかるのか想像もできませんし、費用はお施主様負担になってしまいます。首都圏では屋根塗装が激減しているそうです。そんな背景が影響しているものと思われます。
でも屋根のメンテナンスはしなければならないですよね。費用は高くなってしまいますが、新しい屋根材を重ね葺きするカバー工法をお勧めします。事前調査は必要で、5万円~8万円くらいご負担していただくことになりますが、そんなに難しいことではありません。
新しい屋根はもちろんスレートではなく金属系の屋根材です。いずれ処理しなければいけないアスベスト含有のスレート、カバー工法を一度ご検討ください。
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