2026.08.23
2026年8月23日 更新 築27年、一度も手を入れていないスレート屋根を調査しました こんにちは。街の屋根やさん松本諏訪平店を運営するイトウ住建です。 今回は箕輪町で、1999年に建てられた築27年の住宅から屋根点検のご相談をいただきました。 「家を建ててから一度も屋根をメンテ…
茅野市で中古別荘を購入されたお客様から、築30年のスレート屋根についてご相談をいただきました。
仲介業者から屋根工事を勧められ、施工実績の多い会社を探す中で、街の屋根やさん松本諏訪平店を見つけていただいたそうです。
屋根は塗装による延命が難しい状態だったため、SGL鋼板のMSルーフを重ねるカバー工法をご提案しました。
今回の最大のポイントは、過去に雨漏りした跡がある天窓を残しながら、周囲の防水性と積雪対策を大きく改善したことです。
今回のお住まいは、ご夫婦で今後20年ほど別荘として使用する予定でした。
築30年が経過し、何年か空き家だった期間もあったため、表面だけを塗り直すのではなく、屋根全体の防水性を回復させる必要がありました。
既存スレートを撤去して葺き替える方法もありますが、既存屋根の下地を活かせる状態だったため、撤去費用や廃材を抑えられるカバー工法を選択しています。
ただし、屋根材を新しく重ねるだけでは、天窓の雨漏りリスクは解決できません。
そこで今回は、屋根本体以上に天窓周辺の防水施工を重要工程として考えました。
天窓は室内へ光を取り込める一方、屋根に開口部を設けるため、雨漏りのご相談が多い場所でもあります。
屋根面に降った雨水は上から下へ流れますが、天窓があると水の流れが一度遮られます。
そのため、窓枠の上部や両脇に雨水や雪解け水が集まりやすくなります。
特に茅野市の別荘地では、積雪、凍結、融解を繰り返します。
天窓の上に雪がたまると、日中に溶けた水が夜間に再凍結し、長時間窓周辺へ水分が残ることがあります。
天窓がある屋根では、単に周囲をコーキングで塞ぐだけではなく、雨水を内部へ入れない一次防水と、万が一水が入っても室内へ流さない二次防水の両方が重要です。
今回、お客様は天窓から入る自然光を気に入っており、できれば残したいというご希望でした。
一方で、既存の天窓周辺には過去の雨漏り跡がありました。
確認すると、天窓が屋根面の開口部へ取り付けられているものの、窓周辺の防水処理が十分とはいえない状態でした。
このまま屋根材だけを新しくしても、天窓周辺の納まりを改善しなければ、再び同じ場所から雨漏りする可能性があります。
そこで今回は、
という施工を行いました。
重要なのは、シーリングだけに防水を頼っていないことです。
表面から雨水を入りにくくし、万が一表面を越えて水が入った場合でも、その下に施工した粘着式改質アスファルトルーフィングが室内への浸入を防ぐ二重の考え方です。
天窓の雨漏りを完全にゼロと断言することはできません。
しかし、既存のまま屋根材だけを重ねる施工と比べれば、雨水の流れと積雪の影響を考えた、はるかに安全性の高い納まりになりました。
| 比較項目 | 天窓を残す | 天窓を塞ぐ |
| 室内の採光 | 維持できる | なくなる |
| 工事内容 | 周辺の防水納まりが重要 | 開口部を閉じて屋根を連続させる |
| 雨漏りリスク | 残るため定期点検が必要 | 比較的抑えやすい |
| 積雪対策 | 天窓上部の納まりが重要 | 屋根面を単純化しやすい |
| 将来の維持管理 | 天窓本体・周辺の点検が必要 | 通常の屋根点検が中心 |
| 今回の選択 | お客様の希望で残す | 採用せず |
完全に雨漏りリスクを減らすことだけを優先するなら、天窓を撤去して開口部を塞ぐ方法が最も確実です。
今回は、自然光を残したいというご希望と、今後の使用年数を考慮し、防水性を高めながら天窓を残す方法を選択しました。
最初に、屋根の頂部にある棟板金と、その下に入っていた木製下地の貫板を撤去しました。
棟部分は屋根面同士が合わさる場所であり、雨水や強風の影響を受けやすい部分です。
既存の板金や下地を残したまま上から施工すると、新しい屋根材や棟板金を正しく固定できません。
既存部材を撤去し、下地の状態を確認してから新しい屋根へ作り直します。
既存のスレート屋根の上へ、粘着式改質アスファルトルーフィングを施工しました。
ルーフィングとは、屋根材の下に敷く防水シートです。
屋根材の隙間から雨水が入った場合に、室内への浸入を防ぐ二次防水の役割を担います。
粘着式は既存屋根へ密着しやすく、釘などで開ける穴を抑えながら施工できます。
屋根カバー工法では、仕上げ材だけでなく、この防水シートの施工品質が雨漏り防止に大きく関わります。
新しい屋根材には、SGL鋼板のMSルーフを採用しました。
SGL鋼板は、従来のガルバリウム鋼板を改良した金属屋根材で、軽量性と耐食性を備えています。
既存スレートを撤去せず上から施工するカバー工法では、建物へ加わる重量を抑えることが重要です。
軽量な金属屋根はカバー工法との相性がよく、今後20年の使用を考えた今回の別荘にも適した材料でした。
今回の最重要工程が、天窓周辺の防水施工です。
まず天窓の外枠を取り外し、屋根平面に敷いたルーフィングを天窓の立ち上がり部分まで連続して施工しました。
防水シートを平面で切ってしまうと、窓枠周辺から入った水がシートの裏側へ回る可能性があります。
立ち上がりまで包み込むことで、天窓周辺へ入った水を屋根の下へ流さない納まりにしています。
外枠を戻した後は、必要な接合部へシーリングを施工し、表面からも雨水が入りにくい状態へ仕上げました。

既存の天窓は、上側の窓枠が雪止めのような役割をしており、天窓の上部へ雪がたまりやすい形状でした。
雪がたまると、日中に溶けた水が長時間天窓周辺へ流れ続けます。
夜間には再び凍結し、防水部へ大きな負担をかけます。
そこで今回は、天窓上部へ金属板金によるジャンプ台を設けました。
ジャンプ台とは、天窓の上側へ流れてきた雪や雨水を左右へ分けたり、天窓を越えて流したりするための部材です。
あえて天窓の上へ雪をためず、屋根下方へ流すことで、窓周辺へ水分が滞留しにくい構造にしました。
一般的な地域であれば、天窓周辺の防水だけで対応できる場合もあります。
しかし茅野市は標高が高く、冬は氷点下まで冷え込みます。
別荘地によっては積雪量も多く、屋根に積もった雪が長期間残ることがあります。
天窓上部へ雪がたまると、
といったリスクが高まります。
今回のジャンプ台は見た目のためではなく、茅野市の積雪と凍結を考慮して雨水の流れを変えるための施工です。
工事後は、劣化したスレート屋根がSGL鋼板の金属屋根へ生まれ変わりました。
天窓周辺には防水シートを立ち上げ、表面の接合部も処理し、さらに上部へジャンプ台を設けています。
お客様からは、
「天窓は残したいと思っていたので、雨漏り対策まで考えて施工してもらえて安心しました」
というお言葉をいただきました。
天窓がある以上、将来にわたって雨漏りの可能性が完全になくなるわけではありません。
しかし、既存の不十分な防水納まりを見直し、雨水と雪の流れを考えたことで、以前より雨漏りしにくい屋根へ改善できました。
建物の形状、屋根勾配、天窓の数、下地の状態、足場条件などによって費用は変わります。
天窓から雨漏りする原因は一つではありません。
表面へシーリングを追加するだけで一時的に止まることもありますが、原因が防水シートや板金の納まりにある場合、表面補修だけでは再発する可能性があります。
雨漏り箇所だけでなく、屋根全体の水の流れを確認することが大切です。
次のような症状はありませんか。
一つでも当てはまる場合は、天窓だけでなく、その上流側や周囲の屋根まで確認することをおすすめします。
茅野市は標高が高く、冬の冷え込み、積雪、強風の影響を受けやすい地域です。
また、別荘は常に人がいるとは限らないため、雨漏りや凍害が発生しても気付くまでに時間がかかることがあります。
点検では、屋根材だけでなく、
まで確認することが重要です。
天窓は、屋根の中でも雨漏りリスクが高い箇所です。
これまでにも天窓からの雨漏りを数多く調査してきましたが、原因はシーリングだけとは限りません。
天窓周辺の板金、防水シート、積雪、雨水の流れなど、複数の要因が重なっているケースがあります。
修理方法も、
など、状態とご予算によって異なります。
完全に雨漏りリスクをなくすことを最優先するなら、天窓を塞いで屋根面を連続させる方法が最も確実です。
一方、今回のように天窓を残したい場合は、表面だけを塞ぐのではなく、防水シートと板金の両方で水の流れを管理する施工が必要です。
現地調査では、雨漏りしている場所へすぐコーキングを打つのではなく、まず原因を確認します。
を確認し、写真をお見せしながらご説明します。
「天窓を残せるか知りたい」「雨漏り修理だけで済むか確認したい」という段階でも問題ありません。
点検したからといって、すぐに屋根全体の工事を決める必要はありません。
まずは雨漏りの原因と、今後考えられる修理方法を知ることから始めていただけます。
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