「外壁に亀裂のようなものがある」と、お客様が不安に感じて検索され、弊社にお問い合わせいただいたのがはじまりでした。
現地で確認したところ、外壁そのものはまだチョーキングも軽微で、塗装は急がなくても大丈夫な状態。
しかし、目地やサッシ廻りのシーリングが先に劣化 しており、このまま進行すると、雨水が外壁内部に浸入して冬場に凍り、外壁を内側から破壊する「凍害（爆裂）」を引き起こす可能性がありました。
外壁メンテナンスというと”塗装”を連想しがちですが、実は 外壁を守っているのはシーリング（継ぎ目の防水）。
今回は、外壁保護のための最も重要なメンテナンスである シーリング打ち替え工事 を行いました。

🔍 劣化（割れ）した板間目地シーリング

窯業系サイディングは、3mほどの外壁ボードをつないで施工するため、その継ぎ目に必ず「目地」ができます。
この目地に充填されているのが、ゴムのような弾性防水材 シーリング です。
本来シーリングは、外壁の動き（膨張・収縮）に合わせて柔らかく伸び、隙間を塞ぐことで建物内部に水を入れない役割を担っています。
しかし、紫外線・雨風・寒暖差を受け続けることで、徐々に固くなり、粘りがなくなり、亀裂→破断→剥離 へと進行します。

茅野市は特に、

• 冬季の冷え込みが強く、結露→凍結→膨張による破壊力が大きい

• 気温差が大きく、ジョイント部の動きが大きくなりやすい

ため、シーリングの劣化が目立ちやすい地域です。
外壁を守るために、シーリングが“先に”メンテナンス対象 になる理由がここにあります。

🔍 サッシ周りのシーリング劣化

窓まわりは外壁の中でも特に水が集まりやすい箇所です。
サッシ枠の角部分は動きが大きいため、シーリング劣化が早く現れます。
小さな亀裂から入った水が冬に凍ると、内部から外壁を押し広げ、表面がボコッと浮き上がる凍害（爆裂） を起こします。
茅野市エリアでは窓周りのシーリングは最重要チェックポイントです。

🔧 既存シーリング撤去と「ボンドブレーカー」の重要性

古くなったシーリングは、まず目地からすべて取り除きます。
このとき目地の奥に貼られている 細長いテープのような部材 が 「ボンドブレーカー」 と呼ばれるものです。

ボンドブレーカーの役割は、シーリング材が“奥の面”に接着しないようにすること。

シーリングは本来、
左右の外壁側面（2面） にだけ接着して、
建物の伸縮や揺れに合わせて のび縮みできる状態 が理想です。

しかし、もしボンドブレーカーがなかったり、
劣化して奥まで接着してしまうと——

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❌「三面接着」という不良状態が起こります

三面接着とは：

外壁（左） ｜←接着 シーリング材 ｜←接着 外壁（右） ↑（奥にも接着してしまう）

この状態になると…

• シーリングが 伸びたい方向に伸びられない

• 動きに追従できず ひび割れ・破断が早く起こる

• 寿命が本来より 大幅に短くなる

つまり、見た目は同じでも“持ち”が全く違う のです。

🔍 ここがプロのこだわりポイント

目地の奥にある ボンドブレーカーを壊さず残す・交換する・効かせる ことは、
外壁とシーリングが 長期間しっかり機能するかどうかを左右する最重要工程 です。

シーリングは「どう打つか」より、「どう接着させないか」で寿命が決まります。

ここはDIYでは絶対に判断できないポイントです。

🔍 マスキングテープ → プライマー塗布（密着性を決める工程）

古いシーリングを撤去したあと、次は 新しいシーリングの“受け皿”を整える工程 に入ります。
まず、目地の左右に まっすぐマスキングテープを貼っていきます。
これは仕上がりのラインを美しくするためだけでなく、
目地からはみ出したシーリングが外壁に付着して汚れや剥がれの原因になるのを防ぐ とても重要な工程です。

次に、目地内部へ プライマー（接着促進剤） を塗布します。
プライマーは「下地とシーリング材をしっかりと密着させるノリの役割」を持ち、
これを丁寧に塗らないと、
✅ 早期剥離
✅ 端部からの浸水
✅ シーリングの寿命低下
につながってしまいます。

たった「ひと塗り」に見える部分ですが、
仕上がりの耐久性がここで決まると言っても過言ではありません。

🏗 シーリング材の注入（材料選定が寿命を決める）

プライマーが乾いたら、新しいシーリング材を打ち込んでいきます。
今回は オート化学工業「オートンイクシード」 を採用しました。
一般的なシーリングが耐候8〜12年なのに対し、
イクシードは 20〜30年クラスの超長寿命型 です。

「長く住む家だから、メンテ周期を伸ばしたい」
「繰り返し補修したくない」
というお客様に非常に適した材料です。

注入の際は、隙間なく・奥までしっかりと充填 すること。
ここが甘いと、内部に空洞ができ、
そこから 縮み・ひび割れ・裂け が発生します。

→ シーリングは「埋める」のではなく “支える” 防水材 です。

🪶 シーリング材をヘラで均す（仕上げの技術が美観と寿命を左右する）

注入したシーリングを ヘラでなめらかに整える工程 です。
ただ表面を平らにするだけではなく、
ヘラで押し込みながら空気を抜くことで、
内部密度を上げ、耐久性を高めています。

ここで雑に処理すると：

• 内部に空洞が残り 早期割れ

• 表面の凹凸で 汚れが溜まりやすくなる

• 水が滞留し 劣化促進

など、後々の不具合に直結します。

そして、仕上げが完了したら 乾かないうちに速やかにマスキングを剥がす のがポイント。
乾いてから剥がすと、シーリングが一緒に引っ張られて隙間ができてしまうためです。

小さな動作ひとつで、持ちが数年変わります。

🏠 破風板・鼻隠しジョイント部のシーリング打ち

破風板（屋根の側面を守る板）と、
鼻隠し（雨樋を取り付ける下地となる板）は、
雨・風が直接当たるため、劣化リスクが外壁より高い部位です。

さらに、材質が外壁と異なるため、
微細な伸縮の違いが起こり、隙間が生まれやすい箇所 でもあります。

ここにシーリングを確実に打つことで：

✅ 雨水の回り込み防止
✅ 破風板・鼻隠しの腐食を防止
✅ 雨樋金具周りの寿命を延ばす

外壁と同時に、家全体の防水力を底上げする工事 になっています。

💡 外壁とカーポート屋根の取り合い／玄関まわりのシーリング

異素材同士が接合している場所は、
動き（伸縮差）が最も大きい部分 です。

例えば：

• アルミ製のカーポート

• 樹脂製の窓枠

• 窯業系の外壁

これらは膨張率が全く違うため、
ちょっとした温度差で「微細な隙間」が生まれます。

その隙間を放置すると，

• 雨水の吸い込み

• 冬に凍結 → 外壁が内側から割れる

• 雨漏りとして室内へ

と、建物全体の劣化に直結します。

だからこの部位は、
現場職人の「目」と「判断」と「経験」 が特に求められます。

🎉 完工（美観と防水を両立した仕上がり）

板間目地、サッシ周り、破風板、カーポート接合部…
外装に存在するすべてのシーリングを新しく打ち替えました。

外壁の美観を損なうことなく、自然に馴染んだ仕上がりになり、
かつ、内部防水性能がしっかり回復した状態です。

「見た目は変わらず、家は確実に強くなる」
それが、シーリング打ち替え工事の本質です。

【まとめ】

外壁は綺麗に見えていても、シーリングが先に劣化します。
シーリングが切れると、外壁内部に水が回り、
凍害・膨れ・反り・剥離・雨漏り といった深刻な症状につながります。

外壁を長持ちさせるために、
外壁塗装より“シーリングのメンテナンス”が先です。

お客様の声と担当者よりひとこと

【お客様の声】

外壁が綺麗に見えていたので安心していましたが、シーリングの重要性を知って驚きました。
写真と説明がとてもわかりやすく、工事の必要性も納得できました。
仕上がりも自然で、安心してまたしばらく暮らしていけそうです。

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【担当者よりひとこと】

「外壁はまだ良い → でもシーリングは待てない」
という状態はよくあります。
外壁のメンテナンスは、建物の寿命をどう延ばすか という視点が大切です。
疑問や不安があれば、いつでもご相談ください。

【地域コラム（茅野市 × 気候 × 外壁保護）】

茅野市は標高が高く、冬の冷え込みがとても厳しい地域です。
外壁や目地に入り込んだ水が、夜間に凍ることで 外壁内部が膨張し、内側から割れる「凍害（爆裂）」 が発生しやすい気候です。
また、蓼科高原・白樺湖など美しい自然に囲まれた地域のため、昼夜の寒暖差が大きいことも外装材には負担になります。

だからこそ茅野市では、
外壁塗装よりも先に “シーリング劣化の有無” を点検することが重要 です。