2025.12.22
2025年12月22日 更新 下塗り不足は危険 ガルバリウム鋼板屋根の塗装工事で、意外と見落とされがちなのが「下塗り工程」です。見た目はきれいに仕上がっていても、数年で塗膜が剥がれたり、サビが出てしまったりするケースの多くは、下塗り不足が原因です。今回ご紹介するのは、安曇野市豊科…
屋根って、毎日見ているようで実は細かい変化に気づきにくい場所です。
「最近、なんとなく色が薄くなった気がする」
「雨樋の汚れが増えてきた」
そんな小さな違和感が、実は大きな劣化のサインになっていることがあります。
今回ご相談いただいたのは、上伊那郡箕輪町で23年間お手入れしていない積水ハウス住宅の屋根。
屋根材は“モニエル瓦(乾式洋瓦)”。
日本のスレート屋根と違い、表面に着色層(スラリー層)がある特殊な瓦です。
このスラリー層が劣化すると、
色が抜けて白っぽく見えたり、コケや藻がつきやすくなったりします。
今回は、女性スタッフの視点で
「どこを見れば劣化が分かるのか」「塗装できるのか」
を、現場のストーリーとともにわかりやすくお伝えします。
「築23年、一度も屋根を塗ったことがないのですが、塗装できますか?」
そんなお電話から、今回の点検がはじまりました。
建てられたのは積水ハウスの住宅。
当時多く採用されていた“モニエル瓦(乾式洋瓦)”は、
スラリー層と呼ばれる着色層があるため、
通常のスレートとは劣化の仕方も、塗装の可否判断も大きく異なります。
ご相談者さまも
「今どんな状態なのか分からないので、一度しっかり見てほしい」
と不安なご様子でした。
屋根は生活の中で一番見えにくい場所。
気づいた時には症状が進んでいるケースも多いものです。
そこで私たち街の屋根やさん松本諏訪平店のスタッフが、
屋根の状態、塗装の適合性、雨樋の詰まり、棟板金の状態など、
プロの目で細かく点検させていただきました。
まず今回の屋根材 モニエル瓦(乾式洋瓦) を少しだけご紹介します。
・セメントを基材とした洋風屋根材
・表面に“スラリー層(着色層)”がある
・塗装する際は、このスラリー層を確実に除去しないと塗膜が密着しない
・劣化が進むと白っぽく粉を吹いたように見える(白化現象)
この性質ゆえに、
「普通のスレートより塗装の判断が難しい」 と言われる屋根材です。
一瞬「グレーの瓦かな?」と思うほど全体が白っぽく見えましたが、
これはモニエル瓦特有の スラリー層(着色層)が風雨や紫外線で失われている状態 です。
本来、モニエル瓦は深みのある洋風カラーが特徴ですが、
着色層が劣化すると
・粉をふいたように白くなる(白化)
・水を吸いやすくなる
・コケや藻が付着しやすくなる
などの症状が進行します。
23年間無塗装でこの色まで褪せている場合、
「塗装できるか」よりも
「塗装の前にスラリー層をどれだけ除去できるか」が最大の判断ポイントになります。
棟板金は本来ブラック系の色。
しかし今回は、ほぼシルバーに近いグレーまで色が抜けていました。
棟板金の褪色は
・日射の強い南面に多い
・塗膜が失われるとサビが発生しやすい
という特徴があります。
実際に近づくと、触れただけで表面に粉が付くほどの劣化でした。
ただしサビ穴はないため、交換ではなく塗装で対応できる範囲です。
モニエル瓦はセメント系なので、コロニアルより割れにくい反面、劣化すると脆(もろ)くなる特徴があります。
今回の屋根は ひび・欠けがほぼ無し。
これは施工当時の仕上がりが良かった証拠でもあり、23年間メンテナンスされていないのに割れが見られないのは珍しいケースでした。
ただし、劣化が進むと
・瓦の端(小口)が丸くなる
・衝撃で割れやすくなる
ため、点検は必須です。
特に北面で白化が顕著でした。
北面は湿気がこもりやすく、紫外線ダメージは少ないものの、色褪せ+コケの付着が同時進行しやすい面 です。
また、着色層が完全に失われてしまうと塗装をしても密着しづらく、剥がれの原因になります。
この状態は
「モニエル瓦における塗装タイミングの最終ライン」
と言っても過言ではありません。
モニエル瓦は水を吸いやすく、特に小口(断面)からコケが発生します。
今回のように黄色〜オレンジ色に見えるのは枯れたコケの色 です。
生きた緑色のコケよりも除去は容易ですが、長年こびりついていたため、高圧洗浄だけでは落としきれず、手作業のケレンが必要になる可能性もあります。
コケの付着は
・雨だれ跡
・毛細管現象
・凍害
などにつながるため、早めの対応が大切です。
雨樋は屋根と違い“目線の高さで確認しやすい部分”ですが、意外と見落とされがちです。
今回の雨樋は
・屋根の砂埃が堆積
・そこに湿気が溜まる
・藻が繁殖して塊状になる
という典型的な詰まり方をしていました。
この状態になると
・雨樋としての機能を果たせない
・水が溢れ、外壁汚れや基礎の劣化につながる
・落雪時に破損しやすくなる
などのリスクがあります。
実際、樋内部の泥はスコップで掬(すく)えるほど溜まっていました。
ニエル瓦(乾式洋瓦)は、一般的なスレート屋根とは劣化の進み方がまったく違います。
表面にある“スラリー層”が劣化してしまうと、色が抜け、粉をふいたような白化が起き、コケや藻が付着し、雨水を吸い込みやすくなります。
今回の箕輪町のお宅は、23年間ノーメンテナンスで大きな割れが一つもなかったという、ある意味 “良い状態のままギリギリ踏みとどまっていた” 事例でした。
屋根は高い場所にあるため、外壁以上に「気づきにくい場所」。
しかし放置すると
・雨漏り
・凍害(とうがい)
・内部木材の腐食
など、住まいの寿命を大きく縮めるリスクがあります。
もし
「うちの屋根も色が薄くなってきたかも?」
「コケが増えた気がする」
と感じたら、それは点検のサインです。
プロが見れば「塗れるか・塗れないか」の判断ができます。
どうか早めにご相談くださいね。
屋根は普段じっくり見ることがないので、「23年も手を入れていなかった」と聞いて自分でも少し驚きました。
今回点検していただいて、屋根の色がもともと黒だったのに、ここまで白く褪せているとは知りませんでした。
丁寧に写真を見せながら説明していただけたので、“今の状態が良いのか悪いのか” がとてもよく分かりました。
特に印象に残ったのは、モニエル瓦は普通の瓦と違い、塗装の仕方を誤ると剥がれてしまうというお話です。
素人には見分けがつきませんが、経験のある方に見てもらうことの大切さを強く感じました。
自宅はこれから長く住み続けたいので、今回の点検は本当に良いタイミングだったと思います。
また作業をお願いしようと思っています。
A様邸は、長い年月を経ていても割れがほとんど見られず、「丁寧にお住まいになっているお家だな」と感じました。
ただ、モニエル瓦のスラリー層がだいぶ失われており、白化・コケ・藻の発生が進んでいたのも事実です。
特に北面の劣化は想像以上で、このタイミングでご相談いただけたのは本当に良かったと思います。
塗装をご検討される場合は、
・スラリー層の徹底除去
・高圧洗浄後のケレン作業
・モニエル専用下塗り材の使用
など、通常よりも“ひと手間ふた手間”が必要な屋根材です。
屋根の状態を守る方法はお客様ごとに異なります。
気になることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
お家を長く大切にしたいお気持ちに寄り添って、
最適なご提案をさせていただきます。
上伊那郡箕輪町は、南アルプスと中央アルプスの谷間に位置し、冬は冷え込みが厳しく、朝晩の寒暖差が大きい地域です。
この“寒暖差”は屋根材にとって大きな負荷となり、
・凍害(とうがい)
・コケの繁殖
・着色層の劣化
が起こりやすい環境といえます。
また、周囲を山々に囲まれているため湿気も溜まりやすく、北面を中心にカビ・藻・コケの発生が他地域より顕著です。
特にモニエル瓦は水を吸いやすい特性があるため、箕輪町のように「寒い × 湿気が多い × 朝晩の温度差が大きい」という条件は劣化が進むスピードを加速させます。
だからこそ、"色が薄くなって見える” “雨樋が汚れてきた” といった小さな変化を見逃さないことが大切。
箕輪町は自然豊かで暮らしやすい地域ですが、屋根には少し厳しい場所でもあります。
定期的な点検が、家を長く守る最大のポイントです。
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